KLAN2最終報告書:
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2.7.メーリングリストの管理運営
校内ALN管理運営は、それが分散方式で行われる以上、各部署との連絡、議論が中心的な役割を果たします。したがって、校内LAN管理運営組織は組織内のメーリングリストを管理し、運営する事が重要な仕事になります。本プロジェクトにおいてもメーリングリストの管理運営が最も重要な仕事になりました。ここでは、本プロジェクトが運営したメーリングリストを紹介します。この方法は、メーリングリストとしては基本的で、常識的なものです。特に工夫を加える事はしていません。
2.7.1.メーリングリストの呼びかけ
このメーリングリストは Official Mailing Listであります。委員と助言者、及びお願いしたオブザーバ以外の参加は出来ません。
メールの題名は英文かローマ字で書いて下さい。お願いします。
続いて、klan2-MLのマニュアルです。
KLAN2-MLのマニュアルの取得方法をお知らせします。
題名(Subject)や本文に何も書いていない空のメールを klan2-control@numazu-ct.ac.jp
宛てに送ってください。
klan-MLのメンバーや過去のメールの取り出しかたなどを書いたマニュアルが自動的に送られてきます。
なおマニュアルにある暗証番号には、自分の登録番号に0を付け加えた4桁の数字を設定してあります。
例:岡野の場合
登録番号:125
暗証番号: 0125
メールの取り出しかたなどを書いたマニュアルが自動的に送られてきます。
新しいメンバーの方は、過去のメールを参照しておいてください。
2.7.2.ユーザーマニアルの紹介
本プロジェクトのメンバーが入手したマニアルには以下の事項が書かれています。
- 制御コマンド使用の手引
- 制御コマンドの受け付けアドレスは、klan2-control@numazu-ct.ac.jp です。
制御コマンドは、Subject:にコマンドを書き、必要なものについては、本文にパラメータを書くことにより実行できます。
なお、一通のメールで一つの制御コマンドを実行可能です。2つ以上の制御コマンドを実行したい場合は、その都度メールを送信して下さい。 また、コマンドの文字列に大文字/小文字の区別はありません。
使用可能なコマンド
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アーカイブサービス関連
----------------------
- LIST
- MLに流れた過去の記事の一覧を返送します。本文に、
LIST 記事番号 [....]
と書いたメールを送って下さい。記事番号は以下の形式で数記して下さい。
- 番号
- 指定された番号の記事そのものを指します(カンマもしくは空白で区切り複数書くこともできます)
- 番号1-番号2
- 番号1から番号2の範囲の記事を指します
- 番号-
- 指定された番号から最新の記事までを指します
- -番号
- 1番の記事から指定された番号までを指します
- ALL
- 現在保存されているすべての記事を指します
- 指定された記事の情報を、
- 番号:題名 = 投稿者
- という形で返信します。
- GET
- MLに流れた過去の記事を取り出します。本文に、
GET 記事番号 [....]
と書いたメールを送って下さい。記事番号は LIST コマンドの場合と同じです。取り出した記事はtar+compress+uuencodeで圧縮し、返信します。
メール配送関連
--------------
- APPEND
- MLに登録されます。本文に書かれた内容はプロフィールとして登録されます。他の会員のプロフィールは後で出てくる PROFILE コマンドにより、参照することができます。また、INTRO コマンドで変更することも可能です。
- DELETE
- MLから脱会します。本文に、あなたの会員番号 暗証番号を書いたメールを送って下さい。再度MLに登録を希望する場合は、APPEND コマンドを使って下さい。
- STOP
- メールの配送を一時休止します。本文に、あなたの会員番号 暗証番号を書いたメールを送って下さい。配送を再開する場合は、SEND コマンドを使って下さい。
- SEND
- メールの配送を再開します。本文に、あなたの会員番号 暗証番号を書いたメールを送って下さい。配送を休止する場合は、STOP コマンドを使って下さい。
- ADDRESS
- メールの配送先を変更します。本文に、あなたの会員番号 暗証番号 続けて、ADDRESS 新しい配送先アドレスを書いたメールを送って下さい。
- MEMBER
- MLに登録されているメンバーの一覧表を取り出します。本文に、あなたの会員番号 暗証番号 を書いたメールを送って下さい。メンバー一覧を、会員番号:状態:アドレス の形式で返信します。なお状態については、
- SEND: 送信中
- STOP: 送信休止中
- QUIT: ML脱会
です。
プロフィール関連
----------------
- PROFILE
- MLに登録されている会員のプロフィールを取り出します。本文に、あなたの会員番号 暗証番号を書いたメールをおくって下さい。登録されている全員のプロフィールを返信します。
- INTRO
- 自分のプロフィールを更新します。本文に、あなたの会員番号 暗証番号 続けて登録したい内容を書いたメールを送って下さい。確認のため登録された内容を返信します。
2.7.3.利用例(会員番号1、暗証番号9999の場合)
********************************************
- ・過去にMLに流れた記事の一覧を全て取り寄せる場合
- Subject: LIST
- LIST ALL
- ・バックナンバーを取り寄せる場合
- Subject: GET
- GET -10 15-30 40-
- ・配送を一時休止する場合
- Subject: STOP
- 001 9999
- ・休止状態から復活する場合
- Subject: SEND
- 001 9999
- ・MLから脱退する場合
- Subject: DELETE
- 001 9999
- ・MLに新規に入会する場合
- Subject: APPEND
- 自己紹介
- ・配送先を変更する場合
- Subject: ADDRESS
- 001 9999
- ADDRESS foo@bar.jp
- ・参加メンバーの一覧を取り寄せる場合
- Subject: MEMBER
- 001 9999
- ・MLに登録されているメンバーの自己紹介を取り出す場合
- Subject: PROFILE
- 001 9999
- ・自分の自己紹介を変更する場合
- Subject: INTRO
- 001 9999
- 自己紹介
本プロジェクトでは、'96年11月12日から'97年5月30日までに交わされた1,263通のメールをSubject 毎に分類し、プロジェクト用のHomePageに掲示する、と言う方法を取りました。
校内LAN管理運営組織が管理しなければならないのは、基本的には(1)WWWサーバ、(2)メールサーバ、(3)FTPサーバの3つです。これらの3つのサーバのlog file を取って、定期的にユーザに知らせていきます。この事によって、校内LANの活用状況が把握できます。
- (1)WWWサーバの管理
- 「高専の公式サーバが発信する情報を、どのような人たちが利用するか」と言う事を把握する事は管理運営組織にとって重要な仕事の一つです。発信側が受信側に対して、確実に情報を届けているかどうかについての知見も必要です。
沼津高専では「中学生の皆さんへ」で、中学生が高専について知ってほしい情報を発信しています。'96年6月から'97年3月までにほぼ1000件のアクセスが有りましたが、その内、約半数が学外からのアクセスでした。果たして、「中学生がこれらの情報を見ているかどうか」と言う事については、中学生がインターネットを使える状況にはなっていない事から、悲観的です。しかし、中学生の保護者が会社や自宅からアクセスしている事は十分に考えられます。
沼津高専の公式HomePageに対して、昨年度、外部から20件程度の「意見」が寄せられています。管理は庶務課の仕事ですので、これらの「意見・注文」については庶務課長が返事を送っています。今のところ管理運営組織で協議しなければならないような「意見」は寄せられていませんが、情報を発信する以上、それらについて「外部」から寄せられる「意見・注文」について、「回答」する事も管理運営組織の仕事になります。WWW発信については、内部ばかりでなく、外部からの意見も寄せられます。それらがどのように活かされているのか全く分からない状況では困るからです。
- (2)メールサーバの管理
- E-mailは、今のところ、電話やFax.ほど確実な伝達手段にはなっていません。E-mailでなんでも送れる訳では有りません。実際、30kbytsを超える文章は文字化けを起こします。ワープロで作った文書を添付ファイルで送る事は、受信側に同じワープロソフトがなければ読む事はできません。沼津高専では全教職員にMicrosoft Word を配布してありますが、事務部は「一太郎」文書やGifFileを添付ファイルにしてE-mailで配布する事が有りました。このような事は発信側のモラルの問題ですが、メールサーバにも不要な負荷をかける事になります。管理運営組織は根気よく「定められたワープロソフト以外は使わないように、E-mailには30kbyts以下のプレーンテキストを使うように」訴えていかなければなりません。
- (3)FTPサーバの管理
- 沼津高専の外線接続は64kbpsという「極細状態」にあります。これは、フリーのアプリケションソフトや学校で購入したソフトウェアのダウンロードを各ユーザにお任せできる状況には無い、ということを意味します。
従って、管理運営組織はソフトの著者の了解を得て、学内のサーバにFTPサイトを置いて、各ユーザが利用できるようにしています。こうしたやり方は、ウイルスの侵入を防いだり、学内で「不正」にソフトが使用されたりする事を防ぐという積極的な意味もありますが、、sharewareのソフトウェアがあったり、ダウンロード後の配布・再配布を禁じられているソフトウェアがあったりすることから、大変煩雑な管理を要求されます。
sharewareのソフトウェアについては紹介のPageが必要になります。ライセンスを取って、著者の了解を得ない限りソフトそのものをFTPサイトに置く事はできません。
管理運営組織にはこうした意味からも高いモラルが必要とされると同時に、外線の「極細状態」の解消を実現していかねばならない「義務」を負う事にもなります。
「ftpサイトの運営についてですが、外からソフトをとってきたら、とってきた人が管理者に連絡して、責任もってftpサイトのしかるべき場所に置く、というのが一番良いように思います。管理者は妥当な場所におかれたかどうか?とか、期限切れ等で不要になった物を整理するとかをやれば良いと思います。すべて、管理者に外からとってきて整理しろなんていうのは非現実的です。」という意見もありました。
上述した管理運営は必然的に管理運営組織が何種類もの調査活動を行わなければならないことを意味します。
本プロジェクトでは、学科内のパケットモニタリングを行いましたが、これはやりようによっては各ユーザのパスワードや通信内容を見る事ができる「危険な」調査である、との指摘がありました。勿論、実際に行った調査方法では他人のパスワードや通信内容を見る事のできないものですが、管理運営上、必要な調査である場合には各ユーザの了解と協力が必要なのは言うまでもありません。
本プロジェクトでは「パケットモニタリングは、目的がはっきりしていて Broadcast が届く 範囲内の全ユーザまたは管理者の許可ない限り、一般には許されない」という解釈があり、そのような許可が与えられた人はパケットモニタリングをすることができるということ、合意されています。
但し、学内には公式サーバ以外に、個人的に立ち上げるサーバがあります。この管理運営は一般ユーザが行うもので、学内の管理運営組織が行うものではありませんが、管理運営のモラルについては「知り得た情報を(不必要に)他に漏らさない」という意味での公式サーバの場合と同じ質のモラルが各人に要求されます。
校内LAN活用に関してはスキルのことが重要になります。
スキルといってもコンピュータと LAN をどの程度利用するかは様々で、それぞれに応じて要求されるスキルも変わってくるのは当然です。例えば、
- 全教職員が最低限必要なスキル(文房具として誰でも使えるレベル)
- 教官一般に要求されるスキル
- 情報処理にたずさわる事務官のスキル
- ネットワーク管理者に要求されるスキル
のように分類できるかもしれません。
そして、それぞれでどのようなスキルが要求されるかは、Intranet/Internet を教育・事務業務にどういう利用をしていくかという学校のポリシーと直接関わってきます。
例えば、基本的な事務連絡等は、全てネットワークを利用して行い、必要な場合はワープロ・表計算ソフトを利用する、ということを学校の事務利用のポリシーに(というか約束として)決めてしまえば、全員が持つべきスキルはおのずとそれで決まります(つまり、メールと WWW とワープロと表計算ソフトが使えるといことになります)。
また、教官全員が HomePage でそれぞれの研究業績や教育・研究内容を公開せよ、となれば、それに要求されるスキルも決まります。
WWW サーバを利用して、どのくらい事務作業をインターラクティブに処理するようにしていくか、それによって情報処理に携わる事務官に必要なスキルが変わってきます。
現時点では、メールを利用して連絡事項をアナウンスするということ以外に、学内全体のネットワーク利用に関する共通の約束ごと(皆ができるようすべきこと)がはっきりしていないと思います。それをはっきりと定め実行に移していくということが、このプロジェクトそのものだと思います。
問題は、どうやってそのスキルを習得するかです。詳しい人に教わりながら自分で勉強する、ということがもっとも一般的なやり方だ思います。学生を巻き込んで利用するなどというのもいいでしょう。
ただ、こういったことを全員ができるわけではありません。事務官にはむずかしいでしょうし、これこそ、人によって(習得するための)環境は様々です。
教官でも、私のように一日中コンピュータに向かって仕事している人間と、そうでない人では、どう考えても違います。
したがって、教育・事務利用をどうするか、一定の議論の後、それをトップダウン的に決めたらそのスキルの習得に関しても、トップダウン的に保証することが必要だと思います。
具体的には、学校(業務)として人とお金を投入して、パソコン講習会、ワープロ講習会、ネットワーク講習会、HTML 講習会などを必要なだけ、開催する事も必要です。
これは、業者に委託してやってもいいし(お金と適当な業者が確保できればこれにこしたことはない)、ネットワーク管理運営組織主催のような形で教官がボランティア的(ただし、公開講座のときのように多少の手当をもらえればそれにこしたことはない)にやってもいいのではないかと思います。
ホームページを管理したり、情報処理をメインとする事務官は、もっと高いスキルが要求されるでしょう。こういう人達は、適当な研修会や企業で開催する講習会などに参加させる必要があります。(ここのスキルで事務利用のレベルが決まるといってもいいすぎではないかもしれません)
あと最後に述べておきたいのは、このようなスキルの習得にあたって、各科でネットワークを管理している人たちの協力が、不可欠だと言う事です。
現在支線 LAN を管理されているのは、ほとんどの学科では、その学科の中で LAN、インターネット、(普通の)アプリケーションソフトの利用に最も長けている方々だと思います。このような教官・事務官・技官の積極的な寄与を抜きに、実際の沼津高専のLAN 利用は進まないと考えます。
スキルの習得にあたっては、義務として強制するよりも、コンピュータの持ついろいろなことのできる可能性を知らせること、そして、どうすればそれができるか分かる情報・技術を提供することの方を優先した方がいいようです。それを与えれば覚えてみよう、やってみようという意欲が湧きます。
沼津高専では、そういう伝道師みたいな人を各部署でボランティアでやってもらえることを期待して、最初のネット管理グループが出来たわけです。そして、これは現在、かなり機能していると思います。
ご存知のようにInternetの世界は、現在膨張中であります。新しい技術が、次から次へと生れてきています。そして、これはまだまだ収束する気配が見えません。
本プロジェクトでは、「各自が管理する情報発信技術」と「暗号化技術」について議論されました。前者は、例えば、校内LANによるIntranetが構築されたとしても、学科や事務部が、独自にその情報を管理するために必要な技術であります。WebSarverは各学科、事務部レベルでの情報発信を管理する技術を、Fnordは教官や事務官が自身の責任で、発信する情報を管理することが出来る技術を提供します。
発信する情報のどこまでを高専当局が責任を持ち、どこからが学科レベルの責任分担なのか、と言うことを明確にして行かなければなりません。これは、しかしやってみなければ分らないところがあります。微妙な所はとくにそうですね。それで、完全なIntranetを構築して、各自がいろいろ出し合いながら、実験して見ました。
課題は「教官の個人別時間割表を作る」と言うものです。実験の準備として必要な事は、
- (1)Text原稿。どのデレクトリにあるかを教えること。
- (2)フォーム。雛形はどれかと言うことを教えること。
の2点です。
反応としては教官から、「個人的な意見を言えば、このての個人別時間割表をこのような形で作成することにあまり意味を見い出せません。」と言うのがありました。
「あまり深く考えないで下さい。今は、"出来ることは全部やる"という姿勢で望んで下さい。やる前に意義を考え出すと前へ進めないからです。紙に書かれている情報(物理的情報、あるいは物理空間上の情報)を、LAN上の仮想物質(情報空間上の「物質」)に変えるだけで、意味を持つものがたくさんあるものです。」と説明して、納得してもらいました。こう言う説得も校内LAN管理運営組織の仕事でしょう。
本プロジェクトでは、プロジェクト委員会が今後あるべき管理運営組織の形を模して活動しました。その結果、求められたことは「校内LANに関する事は何でもやる」と言う事でした。
寄せられた意見の分析から言える事は、LANに関する技術的な問題が意外と少なかったと言う事です。全体の20%くらいが技術的な問題で、残りの80%が運営上の諸問題でした。例えば、WWW資料を誰が、いつまで、どう言うフォーマットで作って、成果物は何処へ置くか、それに必要な道具は何処に置いてあるのか、どう使えばいいのか、と言うたぐいの問題です。それらに対して、的確に指示を出して、成果物がどう活用されていくのかを納得できる形で、示していく事が管理運営組織に求められる事の大部分であります。
作業をする前に、「その作業に意味があるのかないのか」と言う事を議論して、結局は「何もしないで終わる」という、高専の中で日常的に起こっている現象は、勿論、校内LAN管理運営組織の中でも常に起こります。こうした現象との精力的なたたかいが、校内LAN管理運営組織に求められる最大の役割である、と言うのが本プロジェクトの極めて「常識的な結論」です。
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