KLAN2最終報告書:
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3.5.校内LAN教育環境整備
校内LAN教育環境整備について、今最も具体的で現実的な案は、klan2推進役の「呼びかけ」にあるの専門科目PCルーム案だとおもいます。われわれが、ネットワーク抜きではこれからの沼津高専の教育は考えられないという意識さえ持てば実現するのですから。
この「呼びかけ」に対して電気工学科から以下のような反応がありました。さらに、それに対する電子制御工学科からの反応も紹介します。
klan2推進役の「呼びかけ」に対して
- 報告者:若松 電気工学科主任
- 電気工学科は、製図室に「教育用マルチメデイアネットワークシステム」を導入して、教育の改善と社会的ニーズに応えようとしてきました。これはあくまでも、文部省から特別な予算を得て行おうというものです。klan2「呼びかけ」の提案は、学科の努力と全学的な協力によって可能であるという積極的な案です。今後、学科に紹介して議論したいと考えています。
しかし、電気工学科の専門分野は、電力,電気機器,制御,情報通信,材料,コンピュータのハードとソフト等、幅広く別れているため学科の年間予算の半分から4分の1をPCルームに出せる状況にはありません。
- 報告者:klan2推進役
- 御尤もな意見です。しかし、こうした幅の広い電気工学をどう効率よく教育していくのか、そこが問題なのです。PCーRoomは教育の幅が広ければ広いほど、その効果を発揮すると思います。要は、どこにどれだけのCostをかけるか、という問題を学科の教育効率との兼ね合いで、どれだけ多くの教官が把握できるのか、という問題に帰着すると思います。
- 実際問題として、学科予算を教育効果との兼ね合いで見直して行こうとするのは大変難しい問題だとは思いますが、いずれ、それは避けて通れなくなるだろうと、私は考えています。
- ほぼ、100年前に、この国が近代化する過程で、たくさんの実業学校が生れました。その後、これらの実業学校の多くは「普通の」高等学校(旧制)になったり、消滅したりしましたが、その原因のほとんど全てが、産業の発達に伴って要求される技術教育が提供できなくなったからであります。
- まことに、実業学校たるもの、時代が要求する技術教育を提供し続けなければならないし、そのためには大変なCostがかかるわけですよね。限られた資源を、要求される技術教育のどこにどう振り分けていくか、それが実業学校が生き残るために必要な事なのでしょう。高専は実業学校100年の伝統をくむれっきとした実業学校であると、私は思っています。
- 上記のような討論と約半年間の調査活動を踏まえて、klan2「呼びかけ」は当初の内容を変更して以下のような「呼びかけpartII」を出しました。
校内LANの教育利用について
---------「呼びかけPart II」-------------
学生・専攻科生の校内ALN利用環境をどのようにして整備していくか。折角、校内LANが整備されても、学生さんの利用環境が整わなければ、何の意味もありませんね。
情報処理教育センターが整備されましたが、あれは、1,2年生用です。学科が1,2年生用の設備におんぶにだっこでは話になりません。
私は、klan2の冒頭で、1200万円位の予算で学科レベルの演習室が整備できますよ、という提案をしました。その内の600万円を全学共通の設備施設費で賄ってほしい、との提案でした。
この提案を具体化したいと思います。つまり、今年度以降、学内のLAN関係設備が整うまでの間、設備施設費を各学科レベルの校内LAN利用環境の整備(学生用PCの整備)へ投資して頂きたいのですが、いかがでしょうか。
この投資は、各学科一様に、と言うことではなく、意欲があって、PCを整備しようとしている学科に重点的に投資するという提案です。
電子制御工学科の場合には、決して十分とも、「最低限」とも言えませんが、曲がりなりに学生・専攻科生のPC環境は、整えられつつあります。本当は、こういう学科を優先的に考えて欲しいのですが、機械工学科や電気工学科を見ますと、やはり、こうした「LAN開発途上学科」で意欲を持っている学科の整備を優先しなければならんでしょうね。
そこで、電子制御工学科の主任には、私から「お宅は、独自にPC環境を整備できるから、ここ2〜3年はLAN開発途上学科の学生用LAN利用環境を整備するために設備施設費は当分の間、遠慮するように」と説得しておきます。
「LAN開発途上学科」への重点投資体制を整えて頂きたいのですが、いかがなものでしょうか。
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上記「呼びかけ PartII」に対する機械工学科からの返事です。
- 報告者:大賀 機械工学科主任
- 先般、klan2「呼びかけ Part II」から提案のあった「校内LANの教育利用について」、機械工学科内で話し合った結果を報告いたします。
校内LANの教育利用klan2「呼びかけ Part II」について全員一致で賛成し、学生の環境整備を進める方向で合意が得られました。
話し合いの中で出た意見を集約すると以下の通りです。
- ・現在では下級生でもinternetの使用経験者がいる。学校全体としてこれだけの環境が整いつつあるのに、学生がこの環境を使用できないことは教育的にもいささか不都合である。
- ・上級生でも授業時間にinternetのことなどを質問してくる学生がおり、環境が整備されていない現状でも多くの学生がLANの活用に関心をもっている。
- ・専攻科学生の場合、校内LANの利用のしにくさが、実際の講義などにおける情報交換や勉学効率向上の際の大きな妨げとなっている。
- ・全学的に校内LANが整備されつつある状況で、機械工学科の学生がこのような環境を使用できない、あるいは取り残されていると感じさせることは教育的にマイナスである。特にこれらの環境を駆使している学科の学生とのギャップは早急に埋めることが必要である。彼らの関心がないのではなく、彼らの関心に答えるだけの環境が整備されていないことが問題である。
このような意味でも、残念ながら現在の機械工学科は「LAN開発途上学科」であると思う。
- ・以上のことから機械工学科でも、学科レベルの校内LAN利用環境の整備(学生用PCの整備)を意欲的に推進すべきである。
5年生には研究室環境がある程度提供されてはいるものの、3,4年生も含めた上級生に対するこの学科単位の環境整備の意義は大きいと考えられる。
実際には管理・運営などの問題を解決してゆかねばならないが、このことにとらわれるあまり学生の環境整備を滞らせてはいけない。積極的に取り組むべき課題である。
- ・導入後の演習室の管理・運営・保守などについても十分な展望を持つことは必要である。すなわち、一旦整備したから良いというものではなく、将来的にきちんと管理・運営できる体制を整えてゆく必要がある。
- ・申請の順序(整備する学科の順序)については特に強い希望はない。昨年度までの経緯からして電気工学科から整備していただいても構わない。
機械工学科からの返事。補足
- 報告者:井上 機械工学科講師
- klan2「呼びかけ Part II」の発案により機械工学科でも校内LAN利用環境の整備(学生用PCの整備)について前向きに議論が展開されました。
機械工学科では、いままでのどちらかといえば消極的な姿勢から、意欲的に学生の環境整備を進める方向に風向きが変わっています。
本計画は既に校内LAN利用環境の整備(学生用PCの整備)が進んでいる学科の協力と理解のもとに進められる計画と思います。機械工学科独自ではとても推進できる計画ではありません。このような発案に感謝するとともに、この機会をぜひ活用してゆきたいというのが機械工学科での合意でありました。
同じく電気工学科からの返事です。
- 報告者:若松 電気工学科主任
- klan2「呼びかけ Part II」から提案された「校内LANの教育利用について」を電気工学科の学科会議で検討させて頂きました。
全学的視点に立った適切な提案であり、機械工学科同様に電気工学科も全員一致による賛成が得られましたことを報告いたします。
物質工学科からの返事です。
- 報告者:宇井 物質工学科主任
- 物質工学科の返事が遅れて済みません。教室会議で必要性を認識しました。現在学生は2台のパソコンを動かしています。あと2台整備し、各研究室のパソコンと合わせてほとんどの5年生以上が活用できる環境を整えつつあります。今後3、4年を整備するために、未開発学科として重点投資体制の対象へ加えていただければ幸いです。
電子制御工学科からの返事です。
- 報告者:森井 電子制御工学科主任
- klan2「呼びかけ Part II」から提案のあった「設備施設費」の「学科学生LAN環境整備への重点投資」について教室会議で討論しました。その結果、以下のような結論になりましたので、お知らせします。
(1)学科の3年生以上を対象とする校内LANの使用環境を整備することは今日、本高専における重点課題の一つになっている。
- (2)主として専攻科生のmail環境、各学科の学生用サーバの立ち上げ状況、サーバの管理・運営状況から判断して、現在、機械工学科及び電気工学科においては、その学科の教育目的の一つである「近代技術の習得」と言う点に関して不十分であり、上記2学科の教育能力を発揮するのにふさわしい環境にあるとはいえない。このような状況の存続は本高専全体の損失である。
- (3)物質工学科においては、学科におけるLAN環境の位置づけから見て、上記2学科に比較し、やや良好な状況にあるが、不十分であると言うことにはかわりがない。
- (4)電子制御工学科においても、十分と言うには程遠い状況ではあるが、上記3学科に比較して、良好な状況にある。
- (5)したがって、電子制御工学科の学生用LAN整備への全高専的な投資は後回しにしても、上記3学科の「整備」を優先的に考えるべきである。また、本高専の教育環境をレベルアップするために、要請があれば、電子制御工学科としては、上記3学科の「整備」を物心ともに援助する用意がある。
- 上記議論に基づき、電子制御工学科は、本年度以降の設備施設費を上記3学科の「整備」のために重点投資されることを希望します。
制御情報工学科からの返事です。
- 報告者:柳下制御情報工学科主任
- 「学内施設設備費」の使途に対するklan2「呼びかけ Part II」の提案に対し、制御情報工学科としては基本的に賛同できると言う結論になりました。連絡が大変遅くなって、申し訳ありません。
「学科学生LAN環境整備への重点投資」について、klan2−MLを通じて全学科の合意が形成されました。
3.6.1.休講対策
- 報告者:影山副校長(教務主事)
- 校内LANの教育活用について、本高専の基本方針の一つに「休講をしない」という事があります。しかし、3年生のスキー研修のように3年生の担任、学生主事・主事補等が研修指導に参加するために他の学年の授業が物理的に持てないという事態が発生します。研修指導に参加する教官は3年生以外の授業が事実上持てません。このような時には当然、他の教官が代わって授業を担当することになります。
- '96度のスキー研修には以下のような手順が採られました。
- 1.副校長(教務主事)から、スキー研修指導に参加する教官のスケジュールが提示されて、代替授業の要請が各学科主任宛てに提起された。
- 2.各学科主任がその要請を受けて、各学科内で代替授業案を作成して、当該教官に代替授業を依頼した。
- 3.代替授業を依頼された教官は、依頼に応じて代替授業を実行した。そして、実施完了報告を各学科主任に行った。
- 4.各学科主任は各学科毎の代替授業完了報告を副校長(教務主事)に報告した。代替授業が出来なかった場合にはその理由と問題点を報告し、副校長は各学科から報告された問題点を洗い出した。ここでの教官スケジュール(時間割)と、学校行事指導上のミスマッチングを調整する案を教務委員会に提出し、次回以降の学校行事指導のあり方を検討した。
(これは、実際に行われてはいませんが、次回以降の教務委員会に提起されればそれでいいと思います。問題点が無ければ、次回も同様の手続きを踏む旨、教務委員会で確認されることを希望します。)
- 5.この調整案は次年度の教官スケジュール(時間割)と学校行事指導の教官への割振り作成に活用された。
- 6.これら、一連の作業は、E-mailを用いて迅速、かつ効率よく行われ、これに係る事項についての「会議」は特別に持たれることはなかった。E-mailを用いた連絡が威力を発揮した実例である。本高専で、こんな事が「会議」無しでできたのは初めてのことである。
- 7.各教官スケジュールについては、各科で「教官別時間割表」がイントラネットもしくは学科の公式Pageに張り出されており、各学科主任はこの「表」の活用により代替授業依頼を、迅速、かつ効率的に行うことができた。
- 8.代替授業を担当した教官は、イントラネットもしくは学科の公式Pageに張り出されたシラバスを参照して、整合性のある代替授業を実施することができた。各学科のHomePageにあるシラバスが活用された実例である。
- 9.より詳細なシラバスが学科HomePageに掲示され、対応する演習問題等の課題が掲示されていると、より効率的な代替授業が実施されるようになることは明白である。今後の課題として残された問題であろう。
- 以上の経過により、校内LANの教育活用の一端が理解できると思います。つまり、校内LANの教育活用といっても、必ずしも学生さんがPCに向かってやることだけではないのです。
3.6.2.校内Lan時代の保護者懇談会
- 報告者:森井電子制御工学科主任
- 11月30日には、D科の保護者懇談会がありました。4年生以下の父兄を対象にしたものですが、当日は120名位の参加がありました。
- 例年の事ですが、この懇談会資料を500部印刷します。30ページ位の資料を整えて、D科の2人の技官さんに印刷して頂き、4年生が製本するという作業になります。
- 資料の作成は、5年生担任と主任が行います。このほかに、冊子としては製本に加えませんが、1年生から4年生までの学業状況を各担任がまとめて保護者に報告します。
- D科では、学生さんの能力向上は、保護者・学生・教官の3者による共同責任として位置づけています。これが、大学と高専の違いだと思っています。大学では、保護者は関係ないでしょう。高専は、学生さんの年齢が20才未満と言うことで、保護者の責任は大きいと言うわけです。例えば、就職指導にしても保護者の同意を前提としています。
- 今年度は、35ページの冊子になりました。昨年までは、これをOHP用のシートにコピーして、説明用の資料を別に作らなければならないのですが、今年度は、資料をWardで編集して、Assisutantを使っていきなりHTML文章にしました。図や表はJIFfileになって、Wardが勝手にfile-nameをつけてくれるので助かります。この冊子は、64kbytsになりました。
- 視聴覚教室には情報端末があるので、PCとProjectorを持っていけば、そのまま発表出来ます。校内Lanのおかげで便利になりました。
但し、スクリーンは従来のものでは使い物にならない(部屋を暗くしないと使えない)ので、D科の演習室から100inch偏光スクリーンを持っていきました。こうすれば、部屋を暗くしないで、Projectorが使えます。念のために、カメラ型のOHPも持っていきました。これも偏光スクリーンのおかげで、部屋の明かりを落とさないで使えます。Projelctorを切り替えるだけで、使えるので、発表には便利です。ついでに、VTRもこのProjectorで使えます。
これは、かなり便利なものです。
3.6.3.編入生ガイダンス
- 報告者:牛丸電子制御工学科講師
- WWWサーバの編入生ガイダンスへの応用例の報告です。
- 昨日の入学式、電子制御工学科へは3名の工業高校からの編入生がありました。
本日はこの3名が午前9時に登校して、現在、D科の演習室にて、沼津高専のHomePageを見ながら、沼津高専について「お勉強中」です。
- D科のHomePageには新4年生が昨年度何をやったかについて、かなりの内容が貼り付けてありますので、それらを一通り見るのは、今日1日では無理かもしれません。
- 昨年度のシラバスを見ることによって、新4年生が昨年度、どんな勉強をしてきたかが分ります。各学生が自分のHomePageを作って貼り付けてあるので、クラスにどんな友人がいるのかが分る仕組みになっています。
- 年間行事予定、前期時間割等、従来ならば編入学生のために用意しなければならなかった印刷物が、一切不用となっています。
- 新1年生へのガイダンスにも沼津高専のHomePageが活躍するのは来年度になるのでしょうかね。
- 編入生ですが、昨日の午前中、学校・学科のホームページを見て周り(主任が指導)、今日は私の方でメールの講習を行いました。
- その感想をメールで受けましたので転送します。
begin ---
生まれて初めてインターネットというものに触れた。触れたというよりも、ただマウスを動かして、ボケーと画面を見ているだけのような気がする。キーボードを叩いて高専外にアクセスできるようになるのだろうか。今は、沼津高専のすごさにショックを受け、はっきり言って自信を失っている。教官の方々から言われる事は、かなりレベルが高い事だと思う。工業高校レベルの僕が高専レベルについていくには容易ではないと思う。しっかり卒業できるのかとても不安である。しかし、後戻りはできない。とにかくあと2年間,必死にくらいついていきたいと思う。インターネットを通してそう感じました。
そして今日、電子メールのうちかたを学んだ。昨日にひき続き驚かされる事の連続である。自分が高専に入った事を実感させられる。ここの学生は、このようなことを当たり前のようにこなしていると思う。その人たちに追いつくには、このような補習がとても重要になってくると思う。これから先、今日みたいな事が、数多くあると思いますがどうぞよろしくお願いします。自分に電子メールが届いたときは本当に感動しました。
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電子制御工学科のホームページは、大変便利で見やすいと感じました。背景の色と文字の色が、見やすくさせていると思います。他のページでなかなか戻れなくなったのもあったけど、このホームページは、そんなことがありませんでした。情報処理特別演習の中にあった、受講者が作ったホームページを見てとても驚きました。自分も工業高校でホームページを作ったけど、それとは比べ物にならないほど凝った物ばかりでした。
特に、便利だと思ったのは、その個人のホームページから、その人が興味のあるページへクリック一つで行けるようにしてあったことです。そのことにより同趣味のひとのホームページであればいろいろと情報が得られることが分かりました。
初めてメールを送ってみて、なんか嬉しかったです。葉書なんかより全然早いし簡単で、なにより面倒くさくありませんでした。これなら自分にでもできそうです。 でもキーの位置がまだあいまいなので、覚えなくてはと思いました。
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インターネットに触れたのはこれで2回目なので、まだ思い通りに扱えなかった。沼津高専のホームページだけでも多くの情報が枝分かれするように入っていて、すべてに目を通すだけでもかなり大変だった。こういった豊富な情報を学習に利用していくことができるようになりたいと思う。
ホームページの感想は色々あるが、まず学生が個人のホームページを持っていることに
驚いた。ホームページといえば見るだけのものと頭にあったので、今の4年生がもうホームページを自分で作れるというのは思ってもみなかった。考えてみれば、高校のときは学校の小さなホームページがあっただけだと考えると、とてもすごいことだと思う。
これから、こういった事についていけるか不安だけどがんばっていきたいと思う。
end ---
以上です。ネットワーク利用の基本的なところは、補習として今後も行っていく予定です。
3.6.4.留学生指導
- 報告者:舟田電子制御工学科教授
- 新年度の入学式が終わり、「沼津高専にとって初めての留学生が卒業した」と(やっと、私自身が)実感しているところでしょうか。
- 思えば8年前、私が沼津高専に異動する際に「留学生がきたときに指導担当する」ように前校長から指示されました。
ほぼ5年くらい前から、留学生の受入の準備委員会(?)が発足し、約2年がかりで「留学生を受け入れる段階」になりました。
「沼津高専にとって初めての留学生」は、実は、1994年1月に初めて会ったときには「歯ブラシと歯磨き」の「日本語での区別」がつかない状況でした。
- 「歯ブラシと歯磨きの日本語での区別がつかない」二人の留学生をどうやって育てるかということと「国立高専の中で最も遅れて始まる留学生指導」をどう進めるかということが課題でありました。
- 当初「日本語のおぼつかなかった」留学生は、2名とも大学に編入学しました。
- 「国立高専の中で最も遅れて始まる留学生指導」での一つの要点は、留学生の間のつながりをつくることにありました。その象徴が、いまでは、Davidが作成した留学生のHomepageになっています。それは、誰が作ったかに意味があり、表現技術は二の次になります。
また、地の利を生かした「受入準備体制」があります。
- さて、「留学生が、卒業したらおしまいか?」というと、そうではありません(と、私は思っています)。「全般的に遅れている日本国の留学生対策」に対する補足部分が残っています。「2000年までに10万人」を目標に進められてきた留学生の受入は、まだ十分ではありません。高専でも既に受け入れを始めて十数年経ちますが、卒業後の指導までは手が回りません。(卒業すれば、少なくとも一応、責任は果たしたことになりますが。) 例えば、「高専に編入学して、卒業後どうなったか」の統計資料は(少なくとも私の知る限り)さほど整備されていません。留学生は、学内に居るときは学生として、しかし時として、国策や外交政策にそって迎え入れた外国人として扱う必要があります。
そのような広い観点から、「初めての留学生の卒業」に際して、EndriantoとDavidのHomepageもaccountも研究室のserverに残してあります。同時に、3年次のtutorと4年次のtutorと4年次のtutor prime(清君)のHomepageもaccountも研究室のserverに残してあります。要するに、EndriantoとDavidが新しい生活になれ、私や当時のtutorから離れていくまでは「supportできる体制」を、Internetを用いて、取りました。
#私にとっての1996年度の卒業研究は、tutorsと留学生と一緒に、「tutorsと留学生の次の体制作り」であった訳です。
- 留学生用のserverが立ち上がったところで、このmailが「NapoleonやZulkifliの1年後」に向けての暗示になれば幸いです。当然押し付けではありませんし、1年後にはもっと変わっているようにも思いますが。
- 報告者:宮田制御情報工学科助教授
- 留学生とネットワーク環境ということに関して私の方からも報告します。
留学生を迎え入れるに当たってネットワークを整備しようと頑張っていただいた舟田先生を始め、それに関係をされた教職員の皆様に大変感謝しております。
- 以前の留学生経費で購入したパソコンは大変有効に活用させていただきました。ナポレオンは、インドネシアや米国の友人たちとE-mailで交信できるようになり、また、日本の事情をホームページで学ぶこともできるようになりました。
- さらに、留学生用のホームページを作り、自分や母国の紹介をしたり、他校の留学生に対する情報などを含んだホームページ作りにも貢献してもらいました。ただし、日本へ来ている他校の留学生は、以前はまだあまりネットワークを使っていなかったような気がしますが、今はどうでしょうか? 最初はCGIなどを使って、留学生向けのアンケートを作ろうかなどと話していましたが、これは今後の課題となります。
- このようなこともあり、また、それ以前には舟田先生のところでネットワークを使わせてもらっていたりということで、ナポレオンには大変良い刺激であったと思います。
- 私自身も留学生指導という立場でネットワークを考える機会が与えられたことに大変感謝をしております。
今後とも、その時代にあった留学生とネットワークの関わり方について考えていくべきだと思います。
- 留学生経費で支給されたパソコンは、既にWWW サーバに設定され、稼動しています。
パソコン(PC)名を購入年度の順番に紹介します。
- PC9821Xe (1994年度) 追加装備
- Macintosh 7500(1995年度)
- Gateway 2000 G6 (1996年度)
- これらのPCは'96年9月中旬から順次稼動し、現在試験運転を続けています。まだ資料が少ないのですが、それぞれに動いています。
- 留学生のHomepageは、'96年9月中旬から順次、David君が
- ASRULのホームページ
- シュウブンのホームページ
- ZULKIFLIのホームページ
- を作成し、URL:http://moon.denshi.numazu-ct.ac.jp/~funada/foreign/index.html
からlinkしています。
- いま、時間割り外の「留学生の演習」をしています。GanboldのHomepageの新版ができました。PC9821のHomepage: http://202.236.221.71/から、linkしています。Hungの新版Homepageは、2週間前に完成し、いま更新中です。Javaもついています。
- 大体、二人とも、HTML、FTP、NFSは、一通り使えるところまできました。
- 彼らの初版のHomepageは、夏の特別演習のpageについています。
3.6.5.遠隔授業
- 報告者:舟田電子制御工学科教授
- 2-3日前から、「奈良高専とのon-line lectureの試み」の準備をしています。元々1995年の秋から検討していたものですが、双方共忙しくて、今ごろになってしまいました。
- 双方のURLなどの確認が終わりましたら、mailとWWWを用いて、講義・演習を始めます。端的に言えば、「奈良高専のある科目の一部に課題を設け、その課題について、こちらから指導・採点する」というものです。双方に教官がいますから、「いわゆる、文部省基準の講義・演習」には抵触しません。
以上で校内LANの教育利用についての報告を終わります。
KLAN2最終報告書:
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